さくら色 〜好きです、先輩〜


そして、いよいよ文化祭がスタートした。

文化祭は今日が校内発表のみで明日が一般公開になる。


「葵ちゃーん!来たよ」


若菜先輩は文化祭が始まるといち早くお店に来てくれた。

すぐ後ろから小野田先輩、そして少し遅れて桜井先輩が教室に入ってくる。


「お!西原さんその浴衣似合うね。な?奏人」


小野田先輩はそう言って先輩が私の目の前に行くように背中を軽く押した。

その拍子につんのめるようにして前に出た先輩と不意に視線がぶつかり、私の鼓動は大きく跳ね上がった。


「…ああ、そうだな」


先輩は歯切れの悪い返事をした後、決まりが悪そうな顔をして視線を逸らす。


「ったく、素直じゃないんだから。耳、赤いぞ?」

「…っ!!うっせ…」


本当だ…

先輩、耳まで赤くなってる。


私は嬉しくて口元が緩んでしまいそうになるのをぐっと堪えた。