さくら色 〜好きです、先輩〜


次の日、文化祭当日。


「葵!浴衣変じゃない?」

「大丈夫!綺麗に着れてるよ」


うちのクラスは全員浴衣に着替えて、教室内は一気に夏に逆戻りしたような雰囲気になった。

佐々木君はいつもと変わらず香緒里ちゃんと楽しそうに話してる。

でもどこかぼーっとしてるような気がするのは気のせいなのだろうか。


「おーい!座れ。出席取るぞ。板橋、宜しくな」


板橋とは新学期に入って来た教育実習生で、今日がその最終日だった。


「今日は実習最終日です。嬉しいことに文化祭が最後ということで今日は皆とたくさん思い出を作りたいなと思ってます」


板橋先生はお世辞にもイケメンとは言えないけど優しくて面白くて生徒には人気だった。