「俺、父親のことは本当に尊敬してる。父親みたいな医者になりたい。だから医大に行く為に勉強は頑張るつもり。だけど部活に勉強に、自分で選んだ道とはいえ大変でさ。そんで兄貴が俺に息抜きしろって内緒でチケットくれたんだ」
「そうだったんだ。私もね、医者になるのが夢なの」
「え?森本さんも?」
「うん。だから一緒に頑張ろ!」
どんどん近くなる佐々木君との距離に私の気持ちはパンク寸前だった。
出会ってまだ三週間しか経っていないのに、今まで感じたことがなかった想いをたくさん知った。
嫉妬心や独占欲。
そして今まで理解出来なかった相手を想うだけで泣きそうになるっていう気持ち。
私、佐々木君が好きなんだ…
桜井先輩に恋してる葵を近くで見てきて、ずっと羨ましかった。
葵はどんどん可愛く、そして強くなっていく。
そんな姿は凄くキラキラしていた。
私も本当の恋をしたら、葵みたいになれるかな…
ふと葵の顔が頭に思い浮かぶ。
早く葵に話したい。
きっと眩しいぐらいの笑顔で、私以上にはしゃいで、私の話を聞いてくれるから。
*里美side*終*