さくら色 〜好きです、先輩〜


ーーーーーキーンコーンカーンコーン。


昼休み終了のチャイムが鳴った。

いつも何ともないチャイムが今日は私を少し寂しくさせた。

もう少し話していたかったのに…


「やべ!次移動だった。俺先に行くな。今日はありがとう」


私の寂しさを知らずに、佐々木君は立ち上がり急いでドアに向かった。


行っちゃう…


この時はまだ名前もクラスも何も聞いていなくて、せめて名前だけでも知りたいのに緊張して言葉が出てこなかった。


「あ!そうだ」


彼はドアの前で立ち止まり勢いよく振り返った。


「俺、佐々木彰。君は?」

「っ!!も、森本里美!」


佐々木君は「森本さん!またな」と手を挙げて図書室から出て行った。


私…おかしいよ…

ただ名前を知れただけなのにこんなにも嬉しいなんて。

ニヤけてしまいそうになる口元を必死で抑えた。


ささきあきら君か…

まだ出会って数分なのに彼の事が気になって仕方がない。


もっともっとたくさん話してみたい。

一緒にいたいって思った。


こんな感情、知らない…