さくら色 〜好きです、先輩〜


「そっか!そうやって解くんだ。教え方上手いね」


佐々木君は問題が解けて本当に嬉しそうに満面の笑みを浮かべた。

そんな彼を見ていると私まで嬉しくて笑顔になれて、心が温かくなった。

これは多分佐々木君の笑顔の力なんだと思う。


心が澄んでいて素直で正直な人の笑顔は周りの人を幸せにする。

嘘偽りなく心の底からの想いだって伝わるから。


葵と佐々木君は似てる。

葵も周りを優しくさせる笑顔の持ち主で私は何度も救われたんだ。


私もそんな人間になりたかった。


「あ…柑橘系の香り…」


後ろの窓から入る春風に乗って爽やかな香りが私の鼻を掠めた。


「ああ。ワックスの匂いかな?」

「ワックスってそんな匂いもあるんだ」

「俺のお気に入りなんだ。…あ、もしかして臭い?苦手?」

「ううん。この香り好きよ。心が落ち着くもの」


気が付いたら胸の高鳴りはおさまっていて穏やかな気分になっていた。