さくら色 〜好きです、先輩〜


*里美side*


佐々木君との出会いは5月。

私が昼休みに図書室で勉強をしている時だった。


「ん〜…届かない…もう、何で台ないのよ」

「取りたいのはこれ?」


本棚の一番上に手が届かなくて困っていると、その本を取ってくれたのが彼だった。


「はい。どうぞ」

「ありがとう…」


眼鏡の下に見える切れ長の目。

スッとした顎のライン。

細い首とくっきり見える喉仏。

ワイシャツから少し見える綺麗な鎖骨。


一瞬にして彼は私の心を煩くさせた。

合わせた目を逸らす事が出来ない…

こんなこと初めてだった。