さくら色 〜好きです、先輩〜


「そんな事ないなら集中しろよ!もう選手権予選まで時間ないんだぞ?」


小野田は険しい表情を浮かべて、俺の肩を掴み無理矢理自分の方へ向き直させた。


小野田の言う通りだ。

俺はサッカーから離れてて二年のブランクがある。

人一倍練習しないと選手権優勝は疎か夏樹に追いつく事も厳しい。

ただでさえ時間が足りないってのに何やってんだよ、俺…


「小野田、言い辛いこと言わせて悪かった」

「何言ってんだよ。俺、部長だぜ?そういうのも仕事なの!それに、分かってくれればいいんだよ」


小野田がああやって言ってくれなかったらずっと集中出来なかったかもしれない。

俺は気持ちを入れ替えて練習に集中した。


そして何事もなく合宿6日目を迎えた。

今日の夜はサッカー部恒例の肝試しがあるらしい。

俺はゴール目前で油断した後輩達を脅かすおいしい位置の担当になった。