試合後、皆の疲労はいつも以上だった。
正々堂々と戦って負けたのなら納得いくけど、こんな試合で負けたら悔しくて堪らない。
皆のその想いが痛いほど伝わってきた。
夏樹…何でここまでやらなきゃいけねぇんだよ。
一年の春、入部した時の自己紹介でお前は夢を語ってたよな?
“俺がこのチームを国立まで連れていく”
当時の俺達はその夢を聞いてお前のこと尊敬したんだ。
夢を皆の前でハッキリと言える夏樹がかっこいいって思ったんだ。
なのにこんなやり方で優勝して満足なのか?
それともあの言葉も嘘だったのかよ…
あの夢だけは本物であってほしかった。
「奏人!」
「矢野、どうした?」
「葵ちゃんいるか?あと萩原さんも」
「え?葵ならそこに…」
さっきまで葵がいた方を見ると葵の姿がなかった。

