「葵、ちょっと広場寄って行かない?」


インターハイを終えてから、先輩の様子が少しおかしい。

いつも何かを考えていて笑顔が消えた。

話してても空返事だし…

そんな先輩からの提案に胸騒ぎがした。


広場では夏休みで遊びに来た家族連れが帰り支度をしていた。

時刻は17時、この時期は日が延びて夕方でも空は青く澄んでいる。

まだ明るいのに広場の外灯が灯り始めた。


先輩と私はサッカー広場のいつものベンチに腰を掛けた。

先輩は座ってからもずっと遠くの方を見ていて何も話さない。