すると恭介が突然、屋上の扉を開けた。

一気に真っ白な光が差し込んで来て、その眩しさに思わず目を瞑る。


「葵?」


まだ眩しさに慣れない目を少しだけ開けると、屋上のフェンスに凭れて座っている先輩の姿がぼんやりと見えた。

先輩は目を見開いたまま、その場に素早く立ち上がる。


「え…先輩…?」


私が驚いて動けないでいると、隣りにいた恭介は先輩の方にツカツカと歩いていく。

そして先輩から少し離れた所で足を止めた。


二人は暫く黙ったまま、お互いに視線を一瞬たりとも逸らすことなく向かい合って立っている。

その眼差しは真剣そのものだった。