先輩は更に二人を問い詰めているけど私はそれどころじゃなかった。

だって、キスしようとしてたのも見られてたとしたら…


「だって、気になって…ね?」

「二人とも、悪ぃ」

「でも何も見てないよ!耳を済ませて会話を少々…」


必死に手を振って見ていた事を否定していたけど、悪いとは全く思ってなさそうだった。

でも、元はと言えば自分達が注意力散漫だったわけだし…


私は怒りに満ちた先輩を宥めた。

先輩は「今度奢れよ」って小野田先輩の肩に軽くパンチをしながらフッて笑った。


「葵ちゃん、おめでと」

「さあー、部活戻るぞ!」


もう少しこの幸せに浸っていたかったけど、私達は保健室を後にした。

昇降口までの間、前を歩く若菜先輩達にばれないように手を繋ぎながら…