「だけど西原さんとの賭けに負けるわけにはいかなかった。賭けに負ければサッカー部に入部する口実になったけどそれじゃ意味なかったんだ。だから西原さんには悪い事をしたけど本気でやらせてもらった」
もう希望をなくしてた先輩はどこにもいない。
今目の前にいる先輩は紛れもなく誰よりも輝いていると思う。
「球技大会の日の放課後、小野田と先生に入部したいって話したんだ。黙っててごめんな?驚かせたくてさ」
「本当にビックリしたんですよ!何が起きてるのかわからなくて頭の中こんがらがっちゃって。ふふふ。すっごいドキドキしたんですから」
「そうだな。目まん丸くして口ぽかーんって開いてたたもんな」
「え!?嘘!うわー…恥ずかしい」
私は頬に手を当てて赤くなった顔を隠した。
「あはは。冗談!」
「もう!!先輩の意地悪!」
私達はお腹を抱えて笑い合った。
「ずっとそうやって笑ってて」
「え…」
突然の先輩の言葉に心臓が震える。
先輩の真剣なその目に吸い込まれてしまいそう…
「西原さんの笑った顔見ると元気になれる。だから…」
先輩の顔がほんのりと赤くなった。
頭の中に響いてるこのドキドキは私の心臓の音?
それとも先輩の?

