さくら色 〜好きです、先輩〜


「俺…サッカーが好きだ。またサッカーがしたい。もう気持ちを抑えきれなかった」

「先輩…」

「あの日、親にまたサッカーをやろうと思うって話した。そしたら泣きながらも笑って頑張りなさいって言ったんだ。久しぶりに二人のそんな顔見た気がする。俺、一人で殻に閉じこもって周りが見えてなかったんだな」


多分、先輩は今その時の両親のことを思い出しているんだと思う。

その横顔に愛情と感謝の気持ちが現れて、優しい穏やかな表情をしているから。


「西原さんが目を覚まさせてくれたんだ」

「私は何も…」

「西原さんがいなかったら俺…きっと決心出来なかった」


先輩は私の目をじっと見つめて「ありがとな」と微笑んだ。


「球技大会の男女混合サッカーで部員が多い中、優勝出来たらサッカー部に入部しようって自分の中で決めてたんだ。全く歯が立たなかったら諦められる。自分がサッカー部についていけるか実力を試したかった」

「そうだったんですか…私、先輩の覚悟を全く知らないであんな賭けしようだなんて…」

「嬉しかったよ。西原さんが俺の事凄い考えてくれてんのわかったから。俺の為にここまでしてくれる子、西原さん以外いない」


泣いちゃいそうだよ…

先輩がこんな風に思ってくれてたなんて知らなかった。