「素直で真っ直ぐで…俺はそんな西原さんに救われたんだ」
先輩…?
顔を上げて先輩を見たけど、ちょうど先輩の真後ろにある外灯の逆光で顔に影がかかり、どんな表情をしているのかわからなかった。
先輩は今、どんな顔をしてるの…?
さっきまで夕日で赤く染まった空は、いつの間にか紺色に姿を変え月と無数の星がくっきりと浮かび上がっている。
運動公園の遊歩道は両側に植えられた木が月の光を遮断し、外灯が灯っていても暗くて不気味だった。
だけど、一人で通るには怖いこの遊歩道も先輩といれば怖くない。
先輩は私に歩く速度を合わせ、隣りをしっかり歩いてくれる。
木に挟まれた遊歩道を抜けると急に視界が開けて、サッカー広場や壁打ちのテニスコートが姿を現す。
広場には私達以外、誰もいない。
「座ろっか」
私達はサッカー広場にあるいつものベンチに腰を下ろした。

