「いえ、私もさっき来たところです」
「そっか。良かった」
ふと先輩の首元を見るとネクタイは曲がり、襟が片方だけ立っている。
急いで来てくれたんだ。
それだけで嬉しくて、こんなにも心が躍るなんてもう先輩中毒性だよ…
「ふふふ。先輩、ネクタイ曲がってますよ」
「え!?あー、ホントだ」
「ちょっと待って下さい」
私は先輩に手が届くぐらいに近付き、首元に手を伸ばした。
ネクタイをくいっと真っ直ぐに直し、襟を折る。
「はい!これで大丈夫ですよ」
「……」
「先輩?」
「いや、何でもない。それじゃ行こっか」
私達は学校を出て、他愛のない話をしながら運動公園へ向かった。

