「じゃあまた明日ね」
「お疲れ様でした」
校門で若菜先輩と小野田先輩と別れ、すぐ横にある桜の下のベンチに腰を掛けた。
17時を回っているのに空はまだ綺麗な澄んだ水色をしている。
日中真っ白だった雲が、この時間には夕陽色に染まって水色の空を彩っていく。
小さい頃、お祖父ちゃんが描いた油絵にも似たような風景があった。
この空の下、土手を仲良く手を繋いで歩く二人の影。
この二人は誰?って聞いたら照れながらお祖父ちゃんとお婆ちゃんだよって教えてくれたっけ。
あの油絵を見て私もこんな綺麗な空の下を大好きな人と手を繋いで歩きたいって思ったんだ。
さっきまで凄く胸がドキドキしてたけど、そんな事を思い出していたらいつの間にか落ち着いていた。
「ごめん!待った?」
いつの間にか私の目の前まで来ていた先輩は、私の顔を覗き込むようにして言った。

