「あのさ、今日部活終わったら時間ある?」
「え?」
急な先輩の誘いに心臓が跳ね上がる。
「話があるんだけど」
「あ、はい!大丈夫です」
「よし!じゃあまた後で」
先輩はそう言ってベンチに置いてあったサポーターを足に着けて、グラウンドに戻って行った。
まだ胸がドキドキしてる。
先輩に話し掛けられたり、優しく微笑んでくれたり、頭撫でられたり…
嬉しいけど…まだ慣れなくて。
このままじゃ心臓がもたないよ。
私は胸に手を当てて深呼吸した。
だけど、私の心臓はなかなか静まってはくれなかった。
「へ〜。桜井君ってあんな顔するんだ」
「あんな顔?」
「んー、内緒♪」
若菜先輩は「そっかそっか。やっぱりねー」と鼻歌を歌いながら作業を再開した。

