「ほら!皆戻れ」
先生が手を叩いて皆を元の位置に戻るように促した。
「とりあえず自己紹介でもしとくか?」
先輩は先生の隣に並んで一度部員を見渡した。
「3年4組、桜井奏人です。かなりブランクあるけど練習についていけるように頑張ります。宜しくお願いします」
夢を見ているのかと思うぐらい、目の前に広がる光景がまだ信じられない。
何度瞬きを繰り返しても消える事はなく…
確かにそこに先輩がいる。
その先輩の背中には迷いはなく、
“希望”と“自信”に満ち溢れているようだった。
「それとマネージャー。色々迷惑掛けるけど宜しくな」
後ろを振り返ってそう言った先輩の笑顔に胸がキューッて締め付けられる。
わけもわからず涙が出そうになった。

