さくら色 〜好きです、先輩〜


「俺、これから用事があって一緒に帰れないけど気を付けて帰れよ?」


恭介は私に背を向けた。

肩が微かに小刻みに揺れているのがわかる。


「…あの、きょ…「「早く行けって!!」」

「っっ!」


私は恭介の大きな声に驚いて肩をビクッと震わせた。


「頼むから…今は一人にしてほしい」


突き刺さる、恭介の言葉。

震えた声は恭介の悲しみを表していた。


傷付けたんだ…

大切な人を。



私は公園の入口まで止まらずに走った。

何度も何度も振り返りたくなる自分に、振り返っちゃ駄目だと言い聞かせながら…