さくら色 〜好きです、先輩〜


「俺…卑怯だよな。自分は努力もしないくせに先輩がいなくなって安心だとか…ホント最低だ」


恭介の声が掠れている。

いつも自信たっぷりで、堂々としてる恭介が。

今は弱く、小さく見えた。


「怖かったんだ…今の関係が壊れるのが。だから自分じゃ何も出来なかった。だけど最近の二人を見てたら気が気じゃなくて…困らせたかったわけじゃないのに…」

「困ってなんかない!…困るわけないよ…」


もう限界だった…

涙が次々と頬を伝い落ちていく。

恭介の想いが痛いほど胸に響いた。


「葵?ありがとな」

「ヒック…恭介…」


恭介は私の涙を親指で拭ってくれた。


その手が暖かくて…

胸が痛かった。