「諦めるのはまだ早いよ!いつか絶対に流れがこっちに来るから頑張ろ!」
私は地べたに座ってる門倉君に手を差し伸べた。
門倉君は私の手をジッと見つめてくる。
「…そうだな。葵ちゃんの言う通りだな!」
私の手を取り立ち上がった門倉君にはいつもの笑顔が戻っていた。
それから門倉君はクラスの皆に声を掛けて回った。
そのおかげで圧倒的な力の差に諦め掛けていたクラスの皆にも笑顔とやる気が戻りつつあった。
門倉君は部内でもクラスでもムードメーカー的な存在で彼の周りはいつも笑顔が溢れていた。
純粋で素直で真っ直ぐで。
笑った時に出るえくぼと目尻の皺が可愛くて。
皆、彼のその笑顔に癒されてるんだ。
私もそのうちの一人。
「あいつ、流石だな」
「うん。門倉君のあの笑顔のお陰で皆最後まで頑張れそうだね」
恭介もまたさっきまでの疲れ切った顔とは打って変わって生き生きとした顔をしていた。

