「…何言ってんだよ。別に西原さん探してたわけじゃ…」

「ぷっ!顔真っ赤にして否定されても説得力ないんだけど」


萩原とは幼い頃から一緒にサッカーをしていた仲間。

こいつはもともと鋭い奴だし、隠し事なんかしてもすぐにバレる。



西原さんの姿を探す癖は今も抜けていなかった。

無意識にあの笑顔を求めてる。

まるで向日葵のような華やかな笑顔は、俺に力をくれた。

どんなに疲れても、試合終了まで時間がなくて負けそうな時も、西原さんが応援してくれるだけで頑張れたんだ。

それは今も昔も変わってない。

俺の中で確実に彼女の存在は中学の頃よりも大きくなっていた。


開会式後、西原さんに賭けをしようと持ち掛けられた。


“サッカー部の入部を賭けて…うちのクラスが優勝したらサッカー部に入部して下さい”


あんなに必死に、真剣な顔して言われたら嫌だと言えない。

でも俺は今日負けるわけにはいかないんだ。

だから西原さんには悪いけど全力でやらせてもらう。