どのぐらい経ったかわからない。

多分ほんの数秒だと思うけど凄く長く感じた。


慎ちゃんの腕の中で幼い頃のことを思い出した。


小学1年の時。

公園で一人遊んでいたら急に雨が降ってきてアスレチックの下で雨宿りをしていた事がある。

次第に雨は強くなり雷が鳴り始め、辺りは暗くなった。

雷が嫌いな私はその場に座り大声で泣いた。

暫くして名前を呼ばれた気がしてふと公園の入口を見ると、当時中学3年の慎ちゃんが傘を差しながら走ってこっちに来るのがわかった。


「那奈!!大丈夫か!?どこも怪我してない!?」

「しんぢゃーん!!うわーん!!」

「よしよし。怖かったな。俺が来たからもう大丈夫。一緒に家に帰ろう」

「ひっく…ゔん…」


この時の慎ちゃんの腕の中は本当に暖かかった。


今思えば慎ちゃんを好きになったのはその時かもしれない。