「それ以上言うな…」


慎ちゃんの心臓の音が聞こえる。

速くて力強くて、規則的に胸を叩いていた。


「那奈が卒業したら…その続きの言葉、俺から言わせて?」


私は慎ちゃんの顔を見ようとしたけど、私を抱く腕の力が一層強まって離れられなかった。


「もう少しだけ…こうさせて」

「…うん」


慎ちゃんの胸の鼓動を聞きながら、私は静かに涙を流した。


嬉しくて、幸せで…


時が止まればいいのにって本気で思った。