「あれ?何かあった?」
葵は保健室の重苦しい雰囲気に気付いたようだった。
「ううん。何でもないよ。葵!そろそろ戻ろ」
「う、うん」
「藤田先生と小林先生、お世話になりました。失礼します」
私は葵の腕を引き、女の子を見ないように保健室を後にした。
「那奈!どうしたの?何か変だよ?」
「葵ー!」
緊張から解放されて一気に涙腺が緩み涙が溢れた。
葵は慌てながらも理由も聞かずに頭を撫でてくれた。
「那奈!!」
ややあって、私を呼ぶ大好きな声が耳に届いた。
振り返ると、慎ちゃんが息を切らして走って来るのがわかった。
「那奈。私、向こうに行ってるね。頑張って!」
そう言って、少し離れたとこに腰を掛ける葵。

