さくら色 〜好きです、先輩〜


「サボってるわけじゃないよ。お前も怪我したのか?」

「バスケで突き指しちゃったみたい。保健の先生はいないの?」


そう言って、保健室を見渡す女の子。

私と目が合った途端、その子の顔から表情が消えた。


「もしかして…二人きりで何かしてた?」


ドクンッ。

さっきとは違う緊張で嫌な汗が出てくる。

き、気付かれた…?

私、何か変だったかな…


まだ熱かった顔が一気に冷めていく感じがした。


「バーカ!何もないよ。こいつが怪我したから付き添ってただけ。藤田先生は今備品取りに行ってるだけだからすぐ戻ってくるよ」

「…ふーん」


慎ちゃんが上手く誤魔化したけどその子は全く信じていない。

それどころか私を睨み続けていた。



ーーーーガラガラガラッ!


「那奈ー!お待たせ」


良いタイミングで戻ってきた葵と藤田先生の姿に、私はホッと胸を撫で下ろした。