「足、大丈夫か?」
「う、うん…大丈夫」
「そっか…」
せっかく慎ちゃんが話し掛けてくれたのに会話はすぐに途切れてしまった。
再び静まり返る保健室。
球技大会で盛り上がる生徒の声と笛の音が聞こえてくる。
外は楽しそうなのに、ここは空気が重い。
まるで別世界にいるみたい…
私、何やってるんだろう…
ここで勇気を出さないでいつ出すの?
慎ちゃんと気まずいままでいいの?
やっと再会出来たのに…
やっと私も恋を出来る歳になったのに…
諦めたくない。
このまま逃げたくない。
葵みたいに、強くなりたい。
私は慎ちゃんに気付かれないように深呼吸をした。
「慎ちゃん、あのね」

