さくら色 〜好きです、先輩〜


ガラガラガラッ…


「失礼します。先生いらっしゃいますか?」

「那奈?どうした?」


保健室のドアを開けると真っ先に飛び込んで来たのは、慎ちゃんと保健の藤田先生が談笑している様子だった。


胸がズキズキと痛む。

誰もいない保健室で二人っきりなんて…

さっきの楽しそうな顔といい二人は恋人同士なの?

変な妄想が頭の中を駆け巡って何を言ったらいいのかわからない。


「あの、那奈が転んで怪我しちゃったので消毒お願いしたいんですけど」

「あら!結構出血してるじゃない…そこ座って傷見せて」


なかなか動かない私を、葵は優しく誘導して丸椅子に座らせた。