さくら色 〜好きです、先輩〜


きっと葵はその眼差しに気付いていない。

でも確実に葵の想いは先輩に伝わってると思った。


葵の真っ直ぐで一生懸命な所が先輩を闇から救い出したんだ。


葵は強い。

私も葵みたいに強くなりたい。


今日、試合前に葵が先輩の元に走っていくその後ろ姿を見て決めた。

慎ちゃんに今の気持ちをありのままに伝えよう。

気まずい雰囲気にしてしまった事を謝って新たなスタートを切ろう。


葵からたくさんの勇気を貰った。


だから今日は葵のために怪我してボロボロになってもいいから優勝するんだ。


それが私に出来る恩返しだと思うから。



ーーーピッピー!


「試合終了!3対1で1年2組!」


うちのクラスは準決勝を無事に突破した。


「葵ー!やったね!!」

「ホント嬉しい!!信じられない!」


私達は手を合わせ飛び跳ねて喜んだ。


「優勝いけるよ!決勝の相手は次の試合で決まるんだよね?」

「うん。サッカー部の部長のクラスと桜井先輩のクラスの試合で勝った方と」


どっちが上がって来ても強敵に違いないね、と苦笑いを浮かべる葵。