「大丈夫か?」
先輩はベンチでゼェゼェ息を荒げる私の隣りに座り、スポーツドリンクに口をつけた。
「あの子達、凄いですね。全然着いていけなくて…」
「ああ。あいつらは一応小学生の部の地区選抜だから。運動能力は普通の小学生と比べるとズバ抜けてるしな」
「そうなんですか?」
「いわゆる未来の日本代表候補ってやつ」
先輩は優しい目で子供達を見ながら言った。
未来の日本代表候補…か。
サッカー少年なら誰もが夢見るサムライブルー。
一握りの選手しか背負えない日の丸。
それに限りなく近くにいるのは…
「先輩もそうじゃないですか」
「…そうって?」
「先輩だって未来の日本A代表候補ですよ」
こんなにも才能があって、キャプテンとしてチームを引っ張って行く力も持ってる。
先輩には日の丸を背負える程の資質がある。
それは一年半前の新人戦の時の注目度を見ても明白だった。

