そして、あっという間に数日が過ぎ。
待ちに待った約束の日。
待ち合わせ場所に着き、携帯で時間を確認する。
時刻は9時45分。
「ちょっと早く来過ぎちゃったかな」
まだ約束の時間まで15分もある。
昨日は緊張でなかなか寝付けなかったんだよね。
朝起きても妙にそわそわしちゃって。
まるで学校の遠足を楽しみにしてる小学生みたいに。
ふと電話ボックスの硝子に映る自分に気付く。
この服、おかしくないよね…?
髪も大丈夫だよね?
硝子を鏡代わりに身なりを確認していた、その時。
「西原さん、早いね」
先輩の低くて穏やかな声が聞こえ、ドキッと心臓が跳ね上がった。
「先輩!おはようございま…っ……」
振り返ると、初めて見る先輩の私服姿に思わず言葉を失った。
ジーンズに薄いピンクのポロシャツというラフな格好なのに、目を奪われる程かっこ良くて。
同じ高校生とは思えないほど大人っぽく見える。
意識しないようにしようと思ってたのに…
意識しない方が無理だよ。

