さくら色 〜好きです、先輩〜


次の日から先輩と二人っきりの特訓が始まった。

部活のあと21時頃まで練習して、帰りは必ず家まで送ってくれる。

何より嬉しかったのが、少しずつだけど先輩が笑ってくれるようになったこと。

サッカー部のことも気に掛けてくれてるのか、試合の事とか聞いてくる。

本当に楽しくてずっと続けばいいのにって思った。

だけど、たまに見せる先輩の寂しそうな顔が忘れられない。



「すぐには忘れられないよ…でもいい傾向だと思う。葵が先輩に対して真っ直ぐだからだよ。葵の笑顔はね、伝染するの」

「伝染って?」

「葵が笑うと周りも笑顔になれる。周りもほっこり暖かくなるんだよ。現に私も葵の笑顔に何回も救われてるんだから」


里美は私の肩に手を回して「葵は私の自慢の親友だよ」って言ってくれた。