「頼むから一回若菜先輩に会ってくれない?」

「うーん…」


恭介はとにかく必死で、今にも土下座をしそうな勢い。

これは相当若菜先輩に言われてんのかな…

恭介は昔から若菜先輩には頭が上がらないみたいだから。


「こんなに頼んでるんだし、話聞くだけでもいいから行ってあげれば?」


私が決め兼ねていると、ずっと話を聞いていた里美が私の肩をポンッと軽く叩いた。


「ん〜…わかったよ。若菜先輩にも久しぶりに会いたいし行くよ」

「ホントか?葵、悪いな」


私の答えを聞いてほっとした表情を浮かべる恭介。


まだやるとは言ってないのに…

ここまでくると少し可哀想になってくる。


里美も同じ気持ちだったのか、私達は顔を見合わせて苦笑した。