俺達三年の引退試合となる決勝戦。

接戦の末、負けた。

チームメイトは泣いていたけど俺は泣けなかった。


会場で解散して一人で学校の部室に向かう。

時刻は16:00、他の部活は片付けを始めていた。


俺は部室の椅子に座って、何もすることなくただボーッとしていた。


どのぐらい経ったかわからない。

気付けば辺りは暗く静かになっていた。


「そろそろ帰るか…」


重い腰を上げ、最後に部室の中を見渡す。

この三年間、色んな事があった。

棚にはここ数年のスコアブックが数十冊ほど立て掛けてある。

ボロボロになった誰かのスパイク。

綺麗に洗濯され畳まれたゼッケン。

壁に貼られたサッカー部の集合写真。


ここは俺の大切な居場所だった。