シャワーでも浴びていれば夢のことなんて忘れてしまうだろう。そう無理矢理心に言い聞かせて風呂場へ向かった。
◇
学校に着き私は弓道場へ行き朝練をするための準備をする。といっても弓と矢を持ってくるだけなんだけど。
早速準備した弓の弦を矢に引っかけ弓を持つ手を頭の上まで持っていき、的を見る。そこから一気に弓を絞り、同時に手を胸の高さまで下ろし、的を狙う。狙いが定まったら矢を放つ。
手から離れ、弓から放たれた矢は耳元で一度ひゅんと風を切る音をならし、的に吸い込まれていく。そして木を貫く乾いた音が聞こえ、矢は的の真ん中付近に突き刺さった。
その動作を何度も繰り返す。動きの決められた人形のように。機械のように。
ひゅん・・・・ばすっ
ひゅん・・・・ばすっ
ひゅん・・・・ばすっ
すべての矢が真ん中付近に集まり、今日は調子が良いと実感できる。調子の良いときは、どんどん練習し体に覚えさせることができれば、本番でも良い成績がとれるだろう。
だから続けて的を射ろうとしようとしたときだった。
「あれ、依紗那じゃん。朝練か?」
