「――とみ。君を無理やり僕の物にするような勝手な真似してごめん。でもこうでもしなきゃ、君をあいつにとられてしまうと思ったから……ずるいよね、僕は」
武市さん……?
それからわたしは本気で寝てしまったらしく。
目覚めたのは朝になってからだった。
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小鳥のさえずる美しい歌声が庭に響きわたる。
ふと、障子を開ける音がした。
その音と共に、瞼に明るい陽射しが映り込む。
「――んっ」
眩しさに思わず顔をしかめると、部屋に入ってきた何者かがわたしに話しかけた。
「あ、ごめん起こしちゃったかな? でも、そろそろ起きてほしいな」
「……え?」
