一枝の寒梅





わたしの手を握ってそのままわたしをその胸に優しく抱き上げる。


「……よいしょっと」


武市さんに完全に身を預け、彼の胸にコテンと頭をつける。そしてまた、元いた夢の中に入り込む。


わたしは小さいころから、縁側で寝てしまったときは武市さんに布団まで運んでもらうのが、もはや習慣のようになっていた。


部屋までの短い距離。


ギシギシと歩くたびに薄気味悪い音を立ててきしむ暗い廊下。


武市さんはつ寝てしまったわたしにつぶやくように言った。


わたしはその言葉を夢の中で武市さんに言われたのか、現にそう言われたのか見当がつかなかったけれど、その言葉はわたしには理解ができなかった。