なんで…
なんで…
ありえないって!

今月から移動になって
初出社なんだよ!

どうしてオレ、
寝坊とかしちゃうんだよ!

それにクツ紐までほどけてるし、
あー!!
オレって!
ありえないって!


はぁ…
ためいきだって大きくなるよ。

幸せ?
幸せなんて逃げっぱなしで…


うっ!

左腕に激痛が走り
前に倒れるオレ。
両手で体を支えるのが今のオレには精一杯だった。


「 ごめんなさい。
ボーッとしていて…。 」


おっ!
なんだか、かわいい女の子だなぁ。


「 大丈夫ですよ!
ちょっと痛かったけどね。 」


本当は痛いよ、めちゃくちゃ。
でもムリしてでも笑っておいた。

まあ、
こんなところにしゃがんでたオレが絶対に悪いしね。

はぁ!
ヤバイ遅刻しちゃう!!
女の子に手を振りながら会社へむかった。



自分のデスクを確認して、
昨日のうちに届いている荷物を事務室に取りに行き

いろいろと用事を済ませて落ち着いた時に


「 女子高生だったなぁ…。
かわいかったなぁ…。
またいつか会えるかな? 」


今朝の女の子が
オレを心配してくれた時の顔を思い出していた。