「 は、る、の!
何見とれてるの?
いい男いたの?
目がハートになってるけど…。 」


資葉がニヤケタ顔して私を見ているよ。


「 目がハート? 」


私はあわてて手鏡を出して自分の顔をみた。


「 陽望ってバカ?
本当に目がハートになるわけないじゃん!
でも顔は赤いよ。 」


たしかに赤い。
はっ?
もしかして…
私って一目惚れ?
あの背中に?


こんなに人が多い駅で
一目惚れの人に出会った!

出会ったのに
名前も知らない。

顔もあまり覚えてない。

私は背中だけを頼りに探すってことになるのね?


「 資葉、
恋って難しいね。 」


「 はぁ?
そりゃ簡単だったら
みんな苦しまないよね? 」


「 数学みたいに勉強したらわかるってもんじゃないしね…。 」


「 恋って二人で答えを探すんじゃないかな?
私にもよくわからないけど…。 」


学校へ資葉と並んで歩く。

少し前に
楊梅くんと彼女さんを発見!

でも不思議とイヤな気持ちにはならなかった。

一緒にいる二人が
さりげなく繋いでいる手が良かったから。


「 よし!
私も恋するぞぉ!! 」


「 陽望、やっぱりバカ!
もう恋しちゃってるくせに。 」


うん!
あの背中のキミ。
絶対に探し出すから待っててね。





end