オレには初恋の女の子がいる。

九重愛桜…

幼いころから仲良かったと思うけど、
いつからかなぁ…
クラスが違った四年生の頃に愛桜の父親が他界した。

その頃から何かが変わったような気がする。


中学に入学して、
また同じクラスになれた。

だから、ずっと見ていた。

昼休み
いつも愛桜の姿が消える。
仲良さそうな女の子がいるように見えないから
毎日探していた。


「 また一人でこんなとこにいるよ…。
愛桜さぁ、
昼休みくらい誰かと一緒にいてくれよ。
心配しちゃうよ。 」


愛桜は
ちょっとムッとした顔をしている。


「 別に心配してくれなくてもいいけど、
私が一人でいようが、
誰かといようが私の自由なんじゃないかな?
検見川に何かあるわけ?
学級長としてポイントとか減るのかい? 」


検見川って呼ぶ愛桜に距離を感じるし、
こんなに心配しても愛桜には
ポイントが減る?とかそんなふうにしか伝わってないんだ。

オレの気持ち…
ちょっと悲しかった。

愛桜の横顔が悲しそうにみえて


「 愛桜…
そんな悲しい顔で空ばかり見ないでくれよ。 」


愛桜がオレを見ないから顔を覗きこんだ。

やっぱり愛桜は
いつになく悲しい顔をしていた。


「 だから検見川には関係ないでしょ? 」


それだけ言い捨てるとオレの前から消えた。