「 愛桜…
金星の位置をわかっていると昼間でも見えるんだぞ! 」


小さい頃に
パパの書斎から星空を眺めながら教わった。

いろんなことを教わったのに、
今 私が覚えているのは…
悲しいことにこれしかない。


位置をわかってる?


と言われてもパパ、
私にはわからないよぉ。


「 また一人でこんなとこにいるよ…。
愛桜さぁ、
昼休みくらい誰かと一緒にいてくれよ。
心配しちゃうよ。 」


「 別に心配してくれなくてもいいけど、
私が一人でいようが
誰といようが私の自由なんじゃないかな?
検見川に何かあるわけ?
あっ!
学級長としてポイントとか減るの? 」


検見川は大きなため息をついた。

小学生の頃は
天眞って呼び捨てにしていたけど…
みんなに冷やかされて。

検見川に悪いかな?
って思ったから名前を呼ぶのをやめた。

それなのに検見川は
相変わらず私の名前で呼んでいる。


「 愛桜…
そんなに悲しい顔で空ばかり見ないでくれよ。 」


検見川の顔も見ないで話をしている
私の顔を覗きこんでいた。
その検見川の顔は、
今まで見たことがない悲しい顔だった。


「 だから検見川には関係ないでしょ? 」


あんな悲しい顔はズルいよ。
ズルすぎるよ。