小想の手から伝わるぬくもり今日で何回目?

男でもさぁ、
ふとこの手のぬくもりをずっと感じていたいんだよね。

あと10歩で小想の家。
いつも思うけど放したくない。


「 また、あしたね。 」


小想は、いつも通り笑ったけど


「 小想、
あしたはないんだよ。 」


オレは小想を見ないで口にした。
明日でオレは卒業なんだよ。
小想をずっと見ていたから離れることがくるなんて考えてもなかった。


「 またあしたは、まだあるもん。
朝一緒に行くんだよ。
いつもより一時間早くきてね。
ちゃんと通学路教えてくれないと、
明後日から通えないじゃん。
ねっ、おねがい。 」


小想のおねがい。は
やっぱり何回聞いてもかわいい!
あと10歩で家なのに、
今日は思わず抱きしめた。


「 空舞くん、
今日は痛いよ。苦しいよ。 」


小想の言葉がなかったら、
オレは離れたくない気持ちのまま力強く抱きしめたことに
気がつかないでいたかもしれない。


「 また、あしたね。 」


小想が笑顔で手を振る。
オレもつられて手を振る。
いつもと同じ時間が流れていた。