ボクの前まできて
キミは自分の名前を見せてくれたね。


[ 私は、
五香美渚です。 ]


キミが来てくれたことの嬉しいさに、
缶コーヒー渡すの忘れていたボク。


外見なんて興味がなかった。
どうでも良かった。

キミが好きだから。
キミって存在が大好きだから。


ボクが手で話しかけたらビックリしていたね。
でも、キミは嬉しそうに話してくれた。


いっぱいいっぱい話をした。
人がどんなふうに二人をみていても、
どうでも良かった。
二人の会話が楽しかったら。


もう時間だね…
反対側のホームに立つキミに
ボクはずっと話かけた。


< 美渚、ボクはキミが大好きだよ。 >


ボクが伝えたら
キミの手は止まってしまった。


< 信じてくれないの? >


それでも止まったまま


< 美渚、ボクはキミの心が大好きなんだ。
聞こえないことを気にしてるの?
でも、美渚が聞こえないから、ボクはキミと出会えたんだよ。 >


キミの手がゆっくり動き出した。


< いっぱいあなたのこと教えて。
いっぱい私のことも聞いて。
私もあなたのこと今以上に好きになりたいもん。 >


< ボクのこと好き? >


< 大好き! >


キミの電車が発車するまで、
二人でいっぱい話をした。

これからも二人で
いっぱい話をしていこう。


いつか
まだ
ずっと先だけど、

キミをボクだけの人になってもらうんだ。





end