目が覚めたのか?
ゴソゴソ動いている。


「 一桜里 おはよう! 」


「 おは… いやぁぁぁ。 」


ベッドから慌てて飛び起きた。


「 すいません…
私…
酔っぱらったんですね? 」


「 いいよ。別に。
まぁ、かわいかったし。
一桜里の家知らないし…
オレのマンションに連れてきちゃったけどね。 」


「 ホントにごめんなさい。
私、何か言ってましたか? 」


おびえるような目をしていた。
きっと記憶がないから不安なんだろう。


「 そうだね、
元カレを忘れられますか?と…
あったかいね、かんちゃん。
って言ってたよ。 」


一桜里の顔がみるみる赤くなっている。


「 一桜里が酔ってない時に
オレ、ちゃんと話を聞いてあげたいって思った。
今なら話せる?
かんちゃん。なんだろう元カレって? 」


「 荻窪さん、
心のキズって治りますか? 」


「 もちろん治るよ。
新しい恋をすれば、
簡単に治るよ。
すぐに治癒するさ。 」


「 新しい恋なんて
そんな簡単にできません! 」


ムキになっている顔もかわいい。


「 できるよ!
オレと新しい恋をしようよ。 」


「 えーっ!
何言っちゃってるんですか? 」


一桜里の顔は
茹で蛸みたいに真っ赤になり、
そのまま何も言えないでいる。


「 オレじゃ、ダメ? 」


首を横に振ってくれた。


「 ちゃんと心のキズ治癒してあげるからね。 」



一桜里の顔を見ながら
オレは、
あいつと終わらせる言葉を探していた。





end