「 ホントにごめんなさい。
私、何か言ってましたか? 」


これを聞くのが一番コワイ。
けど、聞かなくちゃいけない。
記憶がないんだから。


「 そうだね、
元カレを忘れられますか?
と…
あったかいね、かんちゃん。
って言ってたよ。 」


ヤバイ!
ヤバすぎる!


「 一桜里が酔ってない時に、
オレちゃんと話を聞いてあげたいって思った。
今なら話せる?
かんちゃん。なんだろう元カレって? 」


もう開き直っちゃえ!
どこまで話してるか、わからないけど…
もう言うしかない。


「 荻窪さん、
心のキズって治りますか? 」


「 もちろん治るよ。
新しい恋をすれば、
簡単に治るよ。
すぐに治癒するさ。 」


やさしい微笑みをくれたのに、
私は


「 新しい恋なんて、
そんな簡単にできません! 」


ムキになって声が大きくなっていた。


「 できるよ!
オレと新しい恋をしようよ。 」


「 えーっ!
何言っちゃってるんですか? 」


顔に血液が
みんな集まってきてるのか?
って思うくらいに、
熱くなっている。


「 オレじゃ、ダメ? 」


とにかく私は
首を横に振るしかできてない。
ビックリして
それ以外できなかった。


「 ちゃんと心のキズ
治癒してあげるからね。 」


やさしい声で言われて
頬に軽く触れられた。


私の顔の温度はさらに上がっていた。



私…
荻窪さんと…
恋していくのかな?





end