クレハ

日向と過ごす2どめの夏。

今年も、海行きたいな~
なんて考えて日向を待っている。


さっき、牧田くんに言われたんだけどな~。


職員室に寄るから屋上で待っててって日向が言ってたって。


待ちぼうけをしてると、


がチャリとドアが開いた。




けれどそこに居たのは…



「クレハちゃん~」


日向じゃなくて、
牧田くんだった。


「牧田くん?どうして此処に?」


「さあ。どうしてだろうな…」

そう言いながら、

バサバサっと何かが床に落ちた。



「え…?」


目の前に居るのは、
たった今まで、黒髪、眼鏡だった牧田くんが…


短い赤い髪で、
眼鏡なんかかけてない男の子に変わってる。

床にあるのは、
カツラと眼鏡だった。



「あの…牧田くんだよね?」


「あ"~だるかった。
やっぱいい奴演じんのだりいわ~」


優しい声だったのに、
低く、口調も不良さんみたいになっている。




恐い。


何故か無性に牧田くんが
怖く感じた。



「牧田くん、日向は?」


「日向…日向って。
お前うっせえんだよ。
お前は俺のもんになんの」

じりじり近づいてきて、
フェンスに追いやられる。

冷たい目が、余計に恐い…

そして、首に手が延びてきて締め付けられた…



「うっ…くっ」


苦しい…


恐い…



「怯えてる顔。
そそられんね~。」


奇妙な笑みを浮かべると
布みたいなものを口に押し付けられた。



そして…



意識を手放した。