「ほら…言われてた高級ゼリー。

それからノートは朱鳥からだ。」

幸大が差し出す。

「ああ…。

催促したみたいで悪いな。」

華乃が言う。

「催促したんじゃねぇか…。

ったく…金の掛かる女ってのは間違いなく委員長のことだな。」


「金の掛かる女か…。

その私の要求に応じていると言うことは少なからず私に好意がある…と捉えても良いのだろうか?」

華乃が言う。


「別に元から嫌いじゃねぇからな。

つーか、体の調子はどうなんだよ。」

幸大が言う。

「少々高めの熱と喉の痛みだけだ。

明日には治るさ。」

華乃が笑う。

「しっかり治せよ?」

「ああ。

君はやはり優しいな。

私を気遣うなど…」

華乃が言う。

「別に…俺に移ったら嫌なだけだ。」

幸大が目線を逸らす。

「もし移ったらそれは私の責任だな。


付きっきりで朝から晩まで看病することを誓おう。」

華乃が言う。

「遠慮しとく。

せっかく治ったのに移るだろ…。」


「そうか…。

さて…私はせっかくだから買ってきてもらったゼリーでも頂こう。」


華乃はゼリーのフタを剥がし、透明なプラスチックのスプーンで食べる。

「ふむ…

高級と謳うだけのことはあるな。」

華乃が頷く。