「あらあら、若いわね〜」


「誰だ!?」


幸大が後ろからかけられた女性の声に身構えた



「って…華乃の母さん?」

幸大が言う

「久しぶりね。」

女性が大きなお腹をさすりながら言う

「って…妊娠中?」


「そうなの。

華乃の妹。

来月の頭には産まれるわ。」


「へぇ…」


「それにしても後ろからずっと尾行してたのに気づいてくれないなんて、よっぽど二人の世界に入ってたのね。」



「ずっとって…華乃の話…」


「聞いてたわ。

でも、あの子もまだまだね。


親はそんなこととっくに気づいているのにまだ気づかれてないと思ってるなんてね。」


「え?」


「ただ…あの子ってムダにプライドがあるでしょ?


本当は旦那は気づいた時に転校させようって言ったけど、あの子はそんな逃げるような真似は絶対にしたくなかったと思うの。


だから…あの子が頼ってきたら全力で受け止めよう。

それまではずっと見守ろう…って思ってたのに…今じゃ、私たちよりも頼れる人ができちゃったんだもんね〜」


華乃の母がニタニタと笑う


「ただ単に華乃は親に心配をかけたくなかっただけなんじゃないですか?


特に身重の母親には。」


「まぁ…私は華乃に何かあっても幸大君がなんとかしてくれるってわかってるから心配なんかしないんだけどね。」


「責任重大ですね。」

「あら…私たちの大切な娘を生半可な覚悟でもらえると思ってるの?」


「そうだったらこんなに苦労はしませんよ。


何があっても…華乃と一緒にいます。」


「それで良いわ。」


「あの…お腹を触っても良いですか?」


「華乃と言うものがありながら別の女性の身体を触りたいなんて浮気?

なんてね、どうぞ。」


「失礼します。」


幸大がお腹に触れる


トクンッ…


「え?」

「あら、動いたわね。

将来のお兄ちゃんだってわかったのかもしれないわ。」



「華乃並みに頭の良い子みたいですね。」


「そうね。」


「じゃ、俺はこれで。」


「またね〜」


華乃の母が手を振る