ニューヨーク



「おっきー!!」


街の中心にそびえ立つクリスマスツリーを見上げてクーニャが言う。



「さすがアメリカね。

綺麗だわ。」

朱鳥が言う。


「ちなみに、まだ私は納得はしてないわよ?」

姫野が幸大の右手に抱きついて歩きながら言う。

「私も許してませんわ。」

アゲハも幸大の左手に腕を絡ませて言う。



「あぅ〜

私も幸大君と腕を組みたいよぉ〜」

優衣が羨ましそうに指をくわえる。




「なぁ、このツリーって登ってみても良いのか?」

マリアが言う。


「だ、ダメですよ!?」

沙羅が必死に止める。


「幸大君、これが何の葉か解るかい?」

華乃がツリーに意図的に絡められた葉の下に立ち指をさす。


「さぁ?

俺は華乃ほど物知りじゃないからな。」


幸大が華乃の横に立ち葉を見つめる。



「この葉はヤドリギの葉だ。

ところで…君はこれも知らないのかな?



ヤドリギの下にいる少女に男の子は何をしないといけないのか…」

華乃が幸大を見つめる。


「え?」




「私は知ってるよ〜?

男の子は女の子にチューするんだよ!」

クーニャがヤドリギの下に立ちながら言う。


「つーか…お前らもかよ!?」

全員がヤドリギの葉の下に集まる。


「郷に入っては郷に従えと言うだろう?


君もこう言う風習に倣うべきではないか?」


華乃が静かに目を閉じた。


「…。」

幸大がゆっくり華乃に顔を近づけようと…



「そこまでです。」

グイッ!

幸大の後ろ襟を咲子が引っ張る。


「な、何をするんだ咲子君!!」

華乃が言う。


「私も少し思うままに行動しようと思い立ったまでです。」

咲子が言う。


「思うまま?」

幸大が咲子を見る。


「いわゆる嫉妬ですよ。

皆さんよりも幸大さんとの仲が進んでいるとは言え…むしろ、進んでいるからこそ、油断はできないんですよ。

皆さんも我こそはと動きますから。

ですから、もう少し素直になったまでです。


幸大さんが好きだからこそ嫉妬…焼きもちを妬いてしまうんですよ?」


「咲子…」


「というわけで…皆さんの思い通りにはさせませんよ?」


「ぶー!!


せっかくのクリスマスなのに〜!」


クーニャを皮切りにみんなが文句を言う。




そんな幸大たちを見守り、祝うかのようにクリスマスの終わりを告げる教会の鐘がニューヨークに響いた