午後



「いらっしゃいませ。」

姫野が言う。

「お待たせしました!」

クーニャが笑顔を振り撒く。


「ご注文は何に致しますか?」

優衣が言う。

「席が空くまで待っててくれ。」

マリアが言う。


「マリア、お客には敬語だって言ったでしょう?」

朱鳥が溜め息混じりに言う。



「誰だよ…シフトを組んだ奴は。


何で俺や姫野たちが揃いも揃って同じ時間帯なんだ?」

幸大が呟く。


「呼んだかい?」

華乃が言う。


「え?」

「今、シフトを組んだ奴は?

と言っただろう?

私だが…何か?」

華乃が言う。


「いや…別に。」

「君だって…その、私たちと少しでも一緒に居た方が嬉しいんじゃないかと思ってだな…」

華乃は照れ臭そうに眼鏡を触りながら仮設キッチンに向かう。


「少しでも…って、あのなぁ…」

幸大が溜め息を吐く。


「な!?

君は私たちとは一緒に居たくないのか!?」

華乃が言う。


「だから…少しでもってのが間違いだ。

俺はできるならずっと一緒に居たい。」


幸大が顔を赤くし目を逸らしながら言う。


「き、君と言う奴は…

こんな人目のあるところで何を!?」

華乃が言う。

「別に多分、誰にも聞こえてねぇよ。」


「そう言うことじゃない…

本当に…君は!!」

ちゅっ。

素早く、華乃が幸大の唇にキスをして客のもとへと注文を聞きに言った。


「まったく。

人目のあるところで…何だって?」

幸大が嬉しそうに呟いた。